とはいっても、もちろん掛け軸の中ではある。
しかしこれは、門外不出の掛け軸で、いつも社会科の教科書に掲載されている、あの緑色の裃を着た、織田信長だ。
教科書で必ず目にするので、大人になってもその姿で、
織田信長を思い出す人が多いのではないかと思う。
この掛け軸の織田信長は、色白で落ち着きのある優しい顔立ちだ。
彼が本能寺の変で亡くなったあと、1年後に書かれたもので、
どうも本人を熟知する人が描いたものではないらしい。
もうひとつ、本人と等身大の木造の坐像も、展示されていて、
こちらは、同じく織田信長の一周忌につくられたものだが、
豊臣秀吉が、一周忌の法要につくらせたものだ。
こちらの木造の坐像は、眉間にしわをよせて、目つきはするどく、
口を真一文字に結んで、命令を下す寸前、っといった顔立ちであった。
多くの家臣の前に座らされ、皆が懐かしくながめたのが、この坐像である。
残された似顔絵は30点ほどあるが、
どれも、この木製の坐像のような、癇が強そうな印象はない。
私はこれまで、いくつも信長の絵を見たり、時代もので演じる役者を観て来て、自分ばりの像をきずいてきたが、
この木製の信長が本物に酷似しているのではないだろうか。
戦国武将の中でも、革命児であった彼については、
ことのほか興味がわく。
彼については賛否両論あるが、良い点をみならって、
熱意あふれる生き様を、いつも参考にしたいと思っている。
今日は、博物館でのわずか1週間あまりの限定期間の展示に、
思い切って初日にでかけてよかった。
学芸員さんの詳しい解説にも、熱がこもっていた。



